【知られていない無意識の働き】
無意識の力のことをもう少し詳しくお話ししましょう。
普段、私たちが自分の心だと認識しているのは、「意識」という領域です。しかし実は、意識の下部には私たちの認識が及ばない広大な領域が存在しています。それが「無意識(潜在意識)」です。
つまり、私たちの心は意識と無意識が合わさったものであり、意識の占める部分はわずかな割合にすぎません。また厳密に言えば、意識と無意識にははっきりした境界があるわけではなく、中間的な働きのエリアが存在します。それを「イメージ層」と言います。
なお、私は通常、意識を「心」と表記し、イメージ層や無意識も合わせた全体は「ココロ」と表記しています。ココロの構造を図にすると、次のようになります。
ココロの構造
深層心理学では、無意識を意識の下部形態としたうえで、意識と無意識という対立構造でココロ全体をとらえます。
しかし私は、意識を「無意識から派生・変化した機能」と考えています。その理由としては、無意識の方が圧倒的に大きな力を持つこと、生まれた時は意識がほとんど働いていないこと、意識が安定的に機能するには無意識のバックアップが不可欠なことなどがあげられます。
無意識は自身を表現しようとする勢いを持っており、その勢いに沿うように無意識の一部が変化・発展した機能、それが意識なのです。
無意識には一般に知られていない多くの働きがあります。先ほど述べた「意識に介入する働き」と「環境を作り出す働き」も、その一部です。無意識はこれらを駆使して、私たちが思うよりもはるかに強い力で、人生を制約しているのです。