☆☆ 易の神秘 第十四占 ☆☆
《火天大有(かてんたいゆう)の巻》
〜某貴顕の運気についての占〜


 明治二年、嘉右衛門のもとに友人が訪ねて来て、某貴顕の運気を占って欲しいと言う。
 そこで嘉右衛門がこれを筮したところ、得た卦は《火天大有(かてんたいゆう)》の第二爻であった。

《火天大有(かてんたいゆう)》
《大有は、元(おお)いに亨(とお)る。》
『大有とは大いに所有するという意味。この卦は、火(=太陽)が天の上にあり、太陽があまねく四方を照らす象である。またこの卦では五爻のみ陰で他は全て陽であるが、この五爻の君主が衆陽を率い、一君が万民を所有する象にのっとる。故に大いに亨通を得るという占辞である。』  

 第二爻のことばは、
《大車もって載(の)す。往くところあるも咎なし。》
『第二爻は陽剛が中の位に居る、しかも君主の位置である第五爻に応ずるから、あたかも大きい車に荷物を満載するのと同じように、君主から大任をまかされても立派にこれを果たし得る。進んで事に処しても咎はない。』

 嘉右衛門は友人にこう語った。
「大有の卦は、五爻のみ陰で他の爻はすべて陽という構成になっていますが、この一陰が、君位をあらわす五爻にあって他の五つの陽を統御するかたちになっているのでここから、大を有(たも)つ、すなわち大有というのです。

 内卦の乾(天)は純陽(三つの爻すべてが陽)で欠けたところがありませんから、これは正大をあらわします。外卦の離は火で、ものを明るく照らすものですから、これは公明をあらわします。つまり大有とは、公明正大にして天下を有(たも)つことなのです。

 いま得た第二爻は、剛中の徳を持ちしかも第五爻の君主と陰陽相応じているので、天下の大任をその肩に背負って大有の大業を補佐していける大器であると見えます。その様は、あたかも重い荷物をいっぱいに積んだ大車が軽快自在に道を進んで行くようなものです。これを
《大車もって載(の)す。往くところあるも咎なし。》
というのです。


 この方は後々必ず政府の要職に就かれ大功をお立てになること、まずもってまちがい有りません。」と。
 そして後年、この占断は現実となったのであった。